コンセプトは「無観光・無余暇」



今回も、突然の渡韓決定となったが、たいてい韓国珍道中はこのパターンなので、私もそうだが、このサイトにアクセスされている方も驚きはしなかったことだろう。

そして昨日、やっと重い腰(?)を上げて、渡韓準備を始めたのだが…。あぁ、やっぱり大きなスーツケースを借りておけば良かった…。東京では昨日、桜が開花したが、ソウルはまだまだ10度にも満たないらしい。それで、スーツケースに詰め込む衣料が必然的にモコモコしていて、衣類だけで中はパンパンになってしまった。ここで少々、絶望感が私を襲ってきた。「今回は3泊4日だし、荷物も少ないだろうし、いつも静岡に行く時に使っているスーツケースでいいかな」と、タカをくくっていた私が馬鹿だった。もう少し大きなスーツケースも持っているのだが、頑丈だが重たいという、何とも切なさを感じる代物で、昨年の韓国珍道中の際に使用したのを最後に、押し入れから日の目を見ない。

衣類は現地調達する予定もあるが、念のため3日分を用意。それがいけないのかもしれない。

こうして、出発前から珍道中を予感させるような、そんな雰囲気に包まれていたのである。

さて、朝起きて、念のためにパッキングの中身を確かめ、大家さんに渡韓する旨を伝え、予定通りにYCATへ向かった。成田エクスプレスにするか、エアポート成田(横須賀線−総武線直通快速)にするか、それともリムジンバスにするか…と悩んだ結果、成田エクスプレスより安く、エアポート成田より早いリムジンバスにしたのが数日前。が、これが思わぬ幸運をもたらすことになる。というのも、午前中に東海道線、横須賀線、湘南新宿ラインは人身事故で運転を見合わせていたのである! 運転再開となっても、すぐにダイヤが回復するワケがない! それで、私の選択の正しかったことを横浜駅で知ったのである!

YCATにて(京急バス)だが、YCATに着いたのが12時前。私が予約していたバスは12時半…。発券窓口で「予約しておいたのですが…」と名乗ると、「ユナイテッド航空でご出発ですね! お待ちしておりました。どうでしょう? 1本早い12:15に振り替えられますが…」と言われ、「まぁ、無理して待合室にずっといる理由もないし…」ということで、12:15に出発するバスに乗ることにした。バスを待つ間、じっとしていられない私は、YCATのアチコチの写真を撮りまくっていた。その姿を見た係員が「よかったら、周辺地図をどうぞ! これが現在地で…」などと、丁寧に説明してくれた。“お上りさん” のように見えたのだろうか。私は、生まれも育ちも横浜のハマッ子! そして、YCATから自宅まで、徒歩で15分! 珍道中だなぁ…と、出発前から思う次第である。

バスの発券時に「自然渋滞があるみたいなので、早めの移動が良いですよ!」と言われたのだが、私の乗ったバスは渋滞に1つも引っかからず、順調に(予定よりも早く…1時間25分で)成田空港に到着してしまったのである!

ユナイテッド航空の加盟しているスターアライアンスは、成田空港の第1ターミナル南ウイングにチェックインカウンターを全て集め、コードシェア便(共同運航便)の利用客への便宜も図っている。だが、どのカウンターでもチェックインできるのではなく、航空会社ごとに、利用クラスごとに、カウンターが分けられている。今回は、貯まったマイルを使ってエコノミークラスを利用するので、長蛇の列を覚悟したのだが…。わずか20分ほどで私の順番に。そして、「この機械でチェックインしてください!」と言われる。スターアライアンスは、自動チェックイン機を導入していて、航空券を持っていなくても予約番号があれば問題なくオートマティックにチェックイン出来る。また、予約番号を忘れても、パスポートをスキャナにかざすと、その情報(名前、生年月日などなど)から発券されるというから恐れ入る。で、私がチェックインの操作をしていると、「ビジネスクラスにアップグレードしますか? 11600円で可能です!」というようなメッセージが!? 一瞬どうしようか悩んだが、せっかくの無料旅行なので、アップグレードしないことにした。したらしたで、エアラインのラウンジが使用できるのだが…。

チェックインで荷物を預けると、「11.0kg」と表示。スーツケースはパンパンなのに、あと9kgも余裕がある…。こうなることを予期して、スーツケースには予備のバッグ(預け荷物としても耐えられるもの)を入れておいたが、やはり切ない…。

切ない想いを振り切るように、アチコチさまよい歩く。「そうだ、JCBプラザに行かなくちゃ!」と思い、フロア案内図を見ると、さまよっている間に通り過ぎていたことが判明! 急いで戻る途中、アメリカン・エキスプレスのキャンペーンにつかまり、クジを無理やり引かされた。そして、よくわからないが衣類のほこりを取るテープをもらう。「ちなみに、アメリカン・エキスプレスって持ってます?」と聞かれ、「はい、持ってますよ!」と堂々と答える私…。気をよくした係員が、「お出かけはどこですか? 韓国? 仁川(インチョン)のご利用ですか? 仁川ではラウンジが利用できますよ!」と嬉しそうに教えてくれたが、その情報を私が知らないワケがない。それでも、「そうですか…、ありがとうございました!」と丁寧にお礼を言って、JCBプラザへ。この時点で、15時。

チェックインの時、「18:45の出発と書かれていますが、本日は出発が15分早くなっています。搭乗開始は18時からですので、お間違えなく!」と言われていた。それでも、あと3時間…。ついでに言えば、ユナイテッド航空の搭乗券には、搭乗口(ゲートナンバー)が書かれていなかった! う〜ん、不親切…。フライトボードで確認したら、47番からの搭乗だとわかった。

Executive Lounge 1Executive Lounge 1Executive Lounge 1の内部(ちょっとすましてる?)いつもなら、アチコチを果てしなくさまようところだが、今回はクレジットカードのエグゼクティブ・ラウンジを使わせてもらった。アメリカン・エキスプレス、恐るべし…である。このラウンジでは、全てセルフながらも、ソフトドリンクは飲み放題! アルコールは最初の1杯が無料で、2杯目から実費…らしい。何か食べ物もあると思って昼食をとっていなかったのだが、「食べ物を持ち込まないでください」という注意書きを見て、全てを悟った。それで、コーヒーを 「ソフトエスプレッソ」と「イタリアンブレンド」の2種類で飲みまくったが、味の違いがわからず。それにしても、静かな雰囲気でゆったりできるのが嬉しい! ただし、エアラインのラウンジではないので、利用者は日本人オンリーの模様。私は、ソフトエスプレッソを入れている最中、「あとでかき混ぜるのが面倒だから…」という理由でミルクを同時にカップへ注入しようとして、思いっきり熱いエスプレッソを指に浴びた! 「あっつゥ〜!」…と、いきなりヤケドである。コーヒーを飲みながら手紙を書いていると、ハワイから帰国したらしい親子(若い夫婦&2歳くらいの女の子)が私の前に座った。話の内容から、この親子も横浜市民らしい。父親がソフトドリンクを取りに行っている間、女の子がむずかっていた。母親が「ダメでしょ? ちゃんと静かにしていなきゃ!」と諭すと、女の子が「お母さん、だ〜いすき!」と言いながら、笑顔で荷物をぶちまけた! 思わず笑いそうになってしまったが。こらえた私…。

ラウンジでくつろいでいる最中、携帯電話に着信が…。韓日文化交流会議事務局の李鎭夙(イ・ヂンスク)さんからだった。それで、ソウルで会う日程を23日(金)にした。
ユナイテッド航空の新旧デザイン
1時間半ほどラウンジで過ごした後、郵便局に寄り、出国審査へ向かった。そして、法的には日本を出国した私は、急に空腹感が襲ってきた。仕方なく、搭乗ゲート近くにあるスナックでドライカレーを食した。600円だったが、日本円を使いたくなかったので、クレジットカード払い。もっとも、私の前でミネラルウォーターを買った欧米人は、150円をクレジットカード払いしていたのだから、問題はないだろう。うん、国際人、国際人!

UA833便は全日空とアシアナ航空との共同運航便!UA833便は全日空とアシアナ航空との共同運航便!UA833便の機材(ボーイング777)47番ゲート前で搭乗開始を待っていた時、私が乗るUA883便が全日空アシアナ航空とのコードシェア便であることを知った。機材はユナイテッド航空で、全てユナイテッドの航空客室乗務員であるが、そこはスターアライアンスの強み…。しかし、全日空に予約を入れたハズが、ほとんど日本語の通じないフライトを利用することになった方々のことを思うと…。まぁ、人のことなどかまっている暇などないのだが…。

搭乗開始は、予定通り18時。私の座席は33G。だが、18時半になってもドアクローズする気配がない。18:50になって、やっとタキシング開始。機内のオーディオサービスで管制官と機長とのやり取りが聴けるというので、ずっとフライト中も聴いていたのだが、これがまた面白い! アルファベットを言う場合、航空業界は「聞き間違い」などあってはならないので(命に関わるので)、それを避けるためにAはアルファ、Bはブラボーなどと言う約束がある。聴いていると、「Japan Air 745, Papa Delta Victor 3…」などと交信しているのが聞こえる。これを訳すと、「日本航空745便は、PDV3に向かって…」というような意味になる。そして、いつUA883便に離陸許可が出るのかと聞いていたが、他の航空機とのやり取りばかり…。出発ラッシュなのか? 最初にUA883便がコールされたのが19:10のこと。そして、離陸許可は19時半であった。

その交信を聞いている最中、客室乗務員が「あなたの荷物は大きいので、足下に置かず、棚に入れてください!」と言ってきた。「パソコンの入ったバッグは棚に入れず、お足元に置いてください」と機内放送で言っていたので、「このバッグにはパソコンが入っていて、壊れるのがイヤだからここに置いているんです!」と答えるも、「通路に出てしまうかもしれないので…。ここはカートが通りますので」と言われ、「無事にバッグを置けるスペースがありますか?」と聞くと、「大丈夫!」と答えられる。私のエリアには「日本語が出来る」ことを表示するバッジを付けていた客室乗務員が3名いたが、いずれも日本語があまり通じず。このやり取りをした客室乗務員にも日本語のバッジが付けられていたが、やり取りは全て英語。どうしたことだ?!

水平飛行に入り、ドリンクサービスと同時に軽食サービスが始まった。大かたの人はおわかりだろう。私は Can I have 7UP? と、迷わず答えた! さらに、スナックの空き箱が回収されている間にも Can I have more 7UP? と尋ねるほど。「今、クズの回収中で…。お待ちいただけるなら…」とのこと。もちろん、待つに決まってる! 私は、平均的日本人乗客とは異なり、何かと “呼び出しボタン” を押す。今回も、離陸から着陸までの間に、ボタンを4回押した。7UP意外にも理由があるのだが…。

機内誌を読んでいたら、ちょっと気になる免税品が目に入ってきた。パスポートホルダーなのだが、デザインも機能も良さそうで、さらに安い! しかし、なかなか免税販売のアナウンスがない。それで、21時前に呼び出しボタンを押すと、日本人男性客室乗務員が現れ、「間もなく免税販売終了となるんです」とのこと。よかった…ボタンを押して本当に良かった。パスポートホルダーを購入する旨を伝えると、「お釣りがないので、出来たらクレジットカードで…」とのこと。ユナイテッド航空のマイレージ提携カードを差し出す。機内で日本語を話したのは、この時だけだった。

免税品の前に、ある客室乗務員に「関税申告書をもらい忘れたので、日本語版をください」と頼んでおいたのだが、なかなか持ってこない。それでまたボタンを押す。すると、別の客室乗務員が現れた。「別の乗務員に関税申告書を持ってきてくれと頼んだのですが…」と言うと、「わかりました。私が持ってきます」と、すぐに対応してくれた。久々の利用だからなのか、ユナイテッド航空のサービスが良くなったような気がする。オチをつけると、最初に頼んだ乗務員が、最終着陸態勢に入る直前に「お待たせしました!」と申告書を持ってきたのである。もちろん、これは私の “お土産” だ!

21:50、無事にUA883便は仁川国際空港に到着。どうも、到着ラッシュにぶつかったらしく、入国審査ブース前には長蛇の列、列、列…。えらく時間がかかった。今回、審査官が1人にかける時間が長いような…。だが、私は15秒程度で通過。入官書類をハングルで作成すると早くなる。だが、私は440日ぶりに韓国の地を踏んだのである。

チェックイン時に預けた荷物を引き取り、金光哲(キム・グワンチョル)さんに電話すると、「11時に出口横の銀行に…」という。何度確認しても「11時」と言う。これもオチから言ってしまうと、「11時」ではなくて「11番出口」だったのである。「あと30分以上も待つのか…」と、到着ラウンジの椅子に座ってボケーッとしていた私の前に金さんが現れ、「あれっ? いつ出てきたんですか? 見えませんでしたよ!」と言われてしまった。金さんの運転する模範タクシーで明洞(ミョンドン)サボイホテルへ向かうが、ソウル市内に入ったところで渋滞に巻き込まれる。車中、金さんと色々な話をするが、その中でも「黄砂が今、いっぱい吹いてますから、気を付けたほうがいいですよ!」というアドバイスを聞き、「しまった!」と思う私であった。このところ、渡韓は冬だったため、春の渡韓は久々。それで、春の黄砂のことをスッカリ忘れていたのである。私の滞在中、黄砂がひどくなければ良いのだけれど…。

サボイホテルには23:40に到着。チェックイン時にメンバーカードを提示すると、「料金はそのままで、シングルをセミダブルにアップグレードしました」とのこと。独り寝にはデカ過ぎるベッドだが、ゴロンゴロンできそうだ! 常連でいて、本当に良かった!

部屋に荷物を置いてすぐ、外に出た。いつも夜の到着時に利用している忠武(チュンム)キムパプで食事をしようと思ったのだが、店に着くと様子が…。それで「まだ大丈夫ですか?」と聞くと、「ダメです!」と即答される。私の頭とお腹は、すでにキムパプモード…。諦めるワケにはいかないので、別の店を探してみた。普通、観光客が寄りつかないような、真っ暗な裏路地(夜中は、清掃業者や、そのゴミを狙っている者がワンサカいる)を歩くと、「トンカツ専門店 24時間営業」と書かれた店を発見! 私が体で覚えたソウルの鉄則として、「トンカツ専門店ではトンカツを食すべからず」というのがある。幸いにして、専門店というのはトンカツ以外のメニューのほうが多い。他に客がいれば傾向がわかるのだが、あいにく誰もいない。ガラス張りの店を外から眺め、他のメニューが豊富であること&日本語が通じないであろうことを確認し、ドアを開けた。日本語が通じない店は、現地人の支持無しには経営が成り立たないのだ! つまり、それなりの味が期待できる…ということになる。入店していきなり、「韓国の方ですか?」と聞かれ、「日本人です」と返す。そういえば、ユナイテッド航空でも、やたら韓国語の書類を渡された。私が韓国人に見えるのか? それとも、私が日本人らしくないのか? とりあえず、日本語で書かれたメニューもあるらしい。それはそうだろう。店は、天下の明洞にあるのだから。しかし、メニューも見ず、壁に書かれたハングルオンリーのメニューに目を通し、「マグロ海苔巻き(チャムチキムパプ)ください!」とオーダー。最初に、サービスのカクテキとタクアン、そしてスープが出てきた。それぞれ、ある程度のレベル。スープが味噌汁だったのが嬉しかった。余り期待しなかったキムパプも、私の体にしみ入った。2800ウォン(390円程度)也!

食後、コンビニでシャンプー&リンス、ミネラルウォーター(500ml)2本、朝鮮日報を買う。これだけ買って、5000ウォン(700円程度)也!

明日から、ハードな計画が待っている! 今回の珍道中、コンセプト(?)は

無観光・無余暇(無観光・無余暇)

である。とはいえ、端から見れば “観光” のように見えるだろうし、入国目的も「観光」としてある。どうなることやら…。

ちなみに、「韓国珍道中」のロゴであるが、2007年版(つまり今回)のみデザインが異なっている。かなりのマイナーチェンジであるが…。気が付いた方、いるのだろうか?