雪のソウル落ち着きのないガイド



セヘ ポンマニ パドゥセヨ!(セヘ ポンマニ パドゥセヨ!)

あけましておめでとうございます!

今回も、除夜の鐘をテレビで2006年のカウントダウンをした。初のソウル越年時は鐘閣(チョンガク)の普信閣(ポシンガク)で数万人のソウルっ子たちとおしくらまんじゅうをしながら除夜の鐘を聴き、昨年は汗蒸幕(ハンジュンマク)で1年の汚れを落として…と、それなりのイベントを用意して年越しをしたのだが、今回は「韓国初心者もいることだし、無理だけはしない(させない)ように…」と心掛け、あまり激しい移動は避けているつもりだった。

が、新年早々、その心がけが崩れていることを知った。夜中、同行者が何やらつぶやいているのを聞いた。何を言っているのか、耳を澄ませて聞いてみたところ「あぁ…眠てぇなぁ!」と寝言をのたまっていたのである!  かなり無理させていたのだろうか…。新年早々、同行者の発言が「眠てぇなぁ」とは!?

しかし、韓国珍道中に “寝坊” など許されるはずがない! 9時に同行者を起こし、身仕度を調え、ホテル地下1階のGoody Goodyで新年最初の朝食を取った。通常は「街中で、それも安く…」という食事をモットーとしている私だが、昨年同様に「せっかくの正月(日本での場合…韓国は旧正月を祝うので、今日はただの祝日)だから、ちゃんとご馳走を食べよう」ということで、これまた昨年同様に「アワビのお粥」(チョンボクチュク)を食す。新年を迎え、気持ちも新たに、アワビのように噛めば噛むほどに味わいの出る1年となることを祈念した。

粥を食した後、一旦部屋に戻り、インターネットで集めた情報をPDFファイルにして保存し、データを蓄積した。「今日は仕事をしない!」と昨日たしか同行者に伝えたのであるが、一夜明けるとこのザマである。データ蒐集を終えて、すぐにホテルを出た。今日の天気は、予報通りで芳しくない。そんな中、まず徒歩で鐘閣の普信閣に同行者を案内する。「これが、昨夜のテレビで中継されていた “除夜の鐘” がつかれた場所です!」と、観光ガイドを買って出た。それから再び徒歩でタプコル公園に向かった。この公園は、1919年3月1日に祖国独立を目指して愛国者たちが集まった場所であり、日帝による残虐な押さえ込みがあったとされる場所である。その光景を描いたレリーフを1枚1枚(書かれている解説文にしたがって)解説していく私…。すると、その最中に雪が降り始めた。積もるほどではないにせよ、明らかに雪だとわかるように降ってきた。「風邪をひいたら大変!」とばかりにタプコル公園を後にし、「明日、映画観に行くのなら、今日のうちにチケットの予約を入れたほうがいいかも…」ということにして、三成(サムソン)駅前のCOEXモールに向かうことにした。が、降雪のためにタプコル公園から地下鉄駅まで歩くのがしんどくなり、雨宿りならぬ雪宿りのために入ったバス停の待機所で路線図を見ていた私は、路線バスなら乗り換え無しでCOEXモールまで行けることを発見する。そして、雪にあまり濡れることなく、さらに同行者に(バスの中からではあるが)南大門(ナデムン)やソウル駅を案内することも出来、目的地へと達することが出来たのである。さらに、バスはCOEXモールの入口前で停車したので、この上なく自分の選択が誇らしく思えた!

COEXモールの入口にあった犬の人形にまたがる!COEXモール内のマクドナルドにてCOEXモールに入り、まずは昼食…ということになったが、同行者が「韓国のマクドナルドに入りたい!」とリクエストしてきたので、「そういう食事も、たまにはいいかな…」と、異国でマクドナルドを久々に体験することになった。「異国で」と改めて言い直しているのは、実は「外国でファストフード店を利用するのは、かなり苦労する」と言われている。商品名が違ったり、発音が違ったり、システムが違ったり…と、様々な困惑が生じるのである。ロンドン、香港、そして韓国でマクドナルドを利用したことのある私だが、そのたびに “かなり” 苦労したものである。韓国だけを例に挙げると…「マクドナルド」が「メドナドュ」と発音するため「ビッグマック」は「ビッグメック」としたいところだが、「グ」の部分が音韻変化して「ビンメック」と発音しなくてはならない。「マックナゲット」というものは同様に「メンナゲッ」となる。「ハンバーガー」は「ヘボーゴー」。これがわからないと、注文が通らないのである。ちなみに、今日はビンメックセットとメンナゲッ、そしてプルコギボーゴー(プルコギバーガー)セットを注文した。プルコギバーガーは、日本で言えば「てりやきチキンバーガー」にニンニクフレーバーと唐辛子味が加わったような感じ。それはそれで、なかなか美味! その他も、ほぼ日本で食すものと同品質。

メガボックスに展示されていた「青燕」の飛行機食後、COEXモール内の複合映画館「メガボックス」へ。チケットの列に並んで「明日の映画の予約をしたいのですが…」と窓口で言うと、「前売りは、この窓口ではなく、専用のボックスがあります」と言われ、リザベーションコーナーへ移動する。そして、無事に明日の「青燕」(チョンヨン)の予約を取る。大人2人で14000ウォン! 日本円にして、1人700円程度で映画鑑賞できる。安い!

映画の予約を終えた後、COEXモール内をしばらくぶらつき、日本大衆文化の影響を受けていそうなグッズなどを探してみる。相変わらず、日本アニメの力が衰えていないことを痛感する。CDショップにも入ってみたが、J−POPも中島美嘉をはじめ、さまざまなアーティスト(詳細は、あえてここでは述べない)が依然人気であることも確認できた。

徳寿宮にて徳寿宮前の案内地図で、移動手段を考える…雪が上がっていたようなので、同行者の希望の1つである「歴史的建造物を見たい」というものを一部叶えようと思い、地下鉄2号線で市庁まで出て、ハングルを創始した世宗大王(セジョンデワン)でおなじみの(?)徳寿宮(トクスグン)を見学することにした。宮内では、韓国の伝統的な遊びに興じる老若男女が…。同行者は建造物にも感激してくれたようで(とはいえ、これらを作ったのは私ではないが…)、それなりにガイドは務まっていたように思えた。

が、再び雪が降り始めたので、急いで次の目的地へ移動した。今日の18時から、ノンバーバルパフォーマンス「NANTA」を鑑賞することになっていた。昨年は予約を入れておきながら時間を間違え、鑑賞がかなわなかった。今回も日本からEメールで予約を入れておき、時間はバッチリ確認済み! さらに、NANTA劇場は徳寿宮から徒歩7〜8分程度ということで、今回は問題は起きないと確信した次第。劇場への移動途中、ちょっと寒さが身にしみ始めたので、屋台で韓国おでんを1串ずつ食した。日本のおでんとは似て非なるものであるが、これもなかなか美味である。

おでんで体を温めた後、NANTA劇場へ。窓口でEメールのコピーを渡し会計をしようとしたら、「VISAカードかJCBカード、ありませんか? 5%OFFになります」と言われる。どちらも持っているのだが、とりあえずVISAカードで支払いをする。そして、ショップで日本語と韓国語のパンフレットを購入した。すると「お客様、公演後にサイン会がありますよ!」と教えられる。そうそう、サイン会というのはその日の最後の公演後に行われるもので(要するに、1日1回しか行われない)、それに出るためにいつもその日の最終公演を予約するのである。今回も…である。NANTAの内容については多くをここで語らないようにするが、とにかく素晴らしく、パワフルである。笑いあり、驚きあり、感動あり…で、体も心も休まる暇がない。NANTA初心者ではない私だが、それでもワクワクドキドキするのである。公演終了後、サイン会の列に並び、役者の一人一人と会話しながらサインをもらってご満悦の私…。同行者にもパンフレットを1冊渡しておき、サイン会に出させた。良い記念になったことだろう。

NANTA劇場前NANTA劇場内NANTA公演終了後のサイン会にて

夜の南大門!さて、夕食はどうしよう…ということになり、「そういえば一昨年、この近くでチヂミの美味しい店に連れて行ってもらったことがあるなぁ」ということを思い出し、「では、チヂミを食べよう!」ということになった。しかし、場所が上手く思い出せない。タクシー運転手の金さんに一昨日「あのチヂミのお店はどう行けばいいんですか?」と聞いておいたのだが、言われたところに店がない…。アチコチ、可能性を信じて歩き回っている最中、世宗文化会館前のルミナリエに到達した。思いがけず、美しい光の芸術に出会った。市庁前でも鑑賞したが、ここのイルミネーションはアーチ型で、その光に包み込まれるような感じが心地よかった。が、そんな悠長なことをしている場合ではなかった。結局、チヂミは諦め、南大門市場近くにある(よくお世話になっている)定食屋に行くことにした。「あぁ…、ガイド失格だなぁ」という思いが募ったが、食事に移動する途中で “夜の南大門” と遭遇する! 同行者がその威厳ある美しい南大門にエラく感激してくれたので、ちょっと救われた気分になる。

夕飯は、モチ入り饅頭スープ(トンマンドゥクとトッポッキ、そして石焼きビビンバを食した。日本風に言えば、今日は正月…。まだ餅を食べていないことを思い出したので、韓国で餅(トック)を食べようと思った。それで、トックの入っている饅頭スープと、トックの甘辛煮を注文したのだが、どれもこれも冷え切った我々の心をポカポカ温めてくれた、嬉しい味だった。

やはり、我々は日本人…。正月は餅を食すべきなのだ!