波乱の大晦日IT大国・韓国の落とし穴



日本風に言えば、今日は大晦日である。その大事な日に、我々は寝坊した。予定では、9時頃に起床し、昨日のうちにGS25で購入しておいた朝食をとり、11時には韓国の家(コリアハウス)に入り、一通り中の建物を見学して、12時から始まる昼食を楽しむ予定であった。が、起きたのが10時過ぎ…。部屋でボケボケしているうちに11時を過ぎた。明洞駅まで急ぎ、地下鉄4号線で1駅、忠武路(チュンムロ)駅まで移動。駅から韓国の家までは徒歩1分…。それで何とか11時半には到着した。メインホールの入口に、日本人男性の名前と韓国人女性の名前が漢字で書かれており、さらにハングルで「新郎」「新婦」「披露宴」などと書かれていた。要するに今日、この韓国の家で結婚披露宴が開かれるという。おめでたい日に訪れたものだ…と思った。

しかし、日本を離れる前からイヤ〜な予感がしていたので、インフォメーションで “あること” を確認した。その “あること” とは…実は今日のランチは日本にいる時からインターネットで予約をしていたのだが、かなりサイトのシステム不備がわかってしまい、「本当に予約が完了したのだろうか?」という疑問と不安が募っていたのである。昨日のうちに電話で予約確認をしておけば良かったのだろうが、その暇もなく…。それで今日、韓国の家に到着してすぐに予約の確認をした次第である。そして、予感が見事的中! 「インターネットで予約したのですが…」と自分の名前を告げると、「予約リストにありません!」と。それで、システム管理のセクションに確認してもらったのだが、結果は同じ…。「インターネットだと、ダメですねぇ…」とスタッフに言われた私…。「じゃあ、何のための予約システムなんだよ!?」という私の怒りをよそに、「では、ここで予約を受け付けます。お料理はどうしましょう?」と、何事もなかったかのように取り繕おうとするスタッフたちであった。これがIT大国・韓国で起こっていいことなのだろうか?しかし、12時ちょっと前には食事の部屋に通され、出てくる料理ごとに感激し、それはそれで満足し、13時過ぎに韓国の家をあとにした。韓国の家で供された料理の “ほんの” 一部を、写真で紹介する。

韓国の家で供された料理
韓国の家で供された料理
韓国の家で供された料理
韓国の家で供された料理
チャングムの世界?
今と昔が交錯する…

味にも量にも満足した我々は、韓国総合芸術学校の閔庚燦(ミン・ギョンチャン)先生の研究室を訪ねることになるのだが、約束の時間は15時だったので、「このまま地下鉄に乗ってしまうと、あまりにも早く着きすぎてしまう…」ということで、ちょっと明洞に戻り、両替所に向かった。こともあろうに(?)、同行者がまだウォンに両替をしていなかったのである! これでわかると思うが、ここまでの支払いはすべて私がしていたのであった。そこで空き時間を利用して両替をさせたのだが、100ウォンが85円程度のレート…。同行者はここで20000円を両替しようとしていたが、かなり円が安くなっていたので、様子見のために「10000円だけ両替しなさい!」と同行者にアドバイスした。株の投資家か、私ぁ!?

再び地下鉄で明洞から忠武路に出て、そこから地下鉄3号線で南部ターミナルへ出た。駅前の国際電子センタービルで時間をつぶした。エレベータでDVD売り場へ向かおうとしていた時、エレベータに缶ジュースを手に駆け込んできたオニイサンが…。しかし、彼の姿を見ておきながら「開」のボタンを押す意思のない、両手をポケットに突っ込んだままのオジサン…。エレベータの扉に体をはさまれたオニイサン…。ぶちまけられた缶ジュース…。ジュースはオジサンを直撃…。「すみません…」と謝るオニイサン…。自分が原因だということを知っているから、何の文句も言えなかったオジサン…。しかし、さすがに着ていたダウンジャケットが大事だったとみえ、ポケットからやっと手を出して、ぶっかけられたジュースを払っていたオジサン…。年末に、良いものを見させていただいた。その後、下階行きのエレベータが突然逆走するという怪奇現象にも遭った我々であった。

芸術の殿堂前にて15時ちょっと前、駅前に戻ってマウルバスに乗り込んで閔先生の研究室へ。いつもなら、インタビューしながら書記もしなくてはならないところ、今回は専属の書記がちゃんといるので、かなり体力も時間も余裕があった。インタビューに集中できたので、いろいろと突っ込んだ質問も出来たと思われる(自己満足!)。また、閔先生の大学の学生と日本人ピアニストの2人組ユニットToi(トワ)の日本盤CDをいただいた。このCDは先々週、日韓同時発売されたもので、韓国でもCDショップで大きな写真が飾られているという。インタビュー後に韓国盤を購入しようと思った次第。

1時間ほどで研究室をおいとまし、芸術の殿堂前で(おそらく)今夜のカウントダウンイベントの準備であろうか、大音響の一帯を通り過ぎ、その前にある「モーツァルト」という名のカフェテラスでお茶をし、それから路線バスでロッテ百貨店前まで移動した。そして、そのまま明洞地下街に入り、ハーバードメガネで昨日作ったメガネを引き取った。店員さんのひとりがJ−POPにかなり詳しく、さらに知識を深めたいようで色々と質問された。私が横浜在住だと知って、「ヨコハマ…というと、演歌でもポップでもないんですが、何度もヨコハマという言葉が出てくる歌があって、気に入っているんですが、曲名がわからなくて…。お客さんに聞いても、それだけじゃわからない…って言われて、そのままなんです」と言うので、「あぁ、それは、いしだあゆみの『ブルーライトヨコハマ』ですね!」と答えた私…。彼女の今までの疑問は、2005年最後の日に解消された。

市庁前のイルミネーションハーバードメガネを後にして、地下街を歩き続け、地上に出てみたら、そこは道路の真ん中だった! 横断歩道もない! 「あぁ、ここは一度だけ来たことがあるなぁ…」と思い出した私と、「こんな所に(地下街から)出てくるのか、韓国は?」と驚いた同行者! その地下街から車にひかれないように歩道に渡ったところで、きれいなイルミネーションが目に飛び込んできた! クリスマスの頃から年始にかけて、街はイルミネーションで満たされる。毎年見る光景だが、あまりに感動したので、とりあえずまたシャッターを切る。

教保文庫(キョウボムンゴ)のCDショップへ移動し、韓国滞在中に見ておこうと思っている映画『青燕』(チョンヨン)のOST(オリジナル・サウンドトラック)と、閔先生からいただいたToiのCDと同じ韓国盤を購入した。同行者はDEENのファンで(ファンクラブにも入っているらしい)、購入しようかどうか迷っていたというアルバムを発見! おまけに初回限定盤らしく(ジャケットに貼ってあるシールにそう書いてある上、本人も「これは初回限定盤のジャケットだ!」と言っていた)、値段も日本で買うよりもお安いので、迷うことなく購入していた。今日から、アチコチでの買い物時には、あまり私がサポートしないようにして、韓国の想い出を作らせている。言葉上の問題が生じた時だけ、私が簡単な通訳をする程度。というのも、今日の午前中に「いつもアチコチついて行っているだけなので、韓国に来た実感がまだ沸かない」と言われたので、「これではいけない!」と思い、このような措置を取ったのである。同行者は初の渡韓にして、すでに路線バス(多くのガイドブックに「ハングルの理解できない日本人旅行者にはお勧めできない交通手段」と書かれている!)まで乗っているのだが(私にしても、3度目くらいの渡韓で初めてバスに乗ってみたほどである)、それとて私について来ただけの話で、自分の力だけで何かを成し遂げてもらいたいと思ったのである。その感激が、次の渡韓へのモチベーションとなるはずだ…と、私は信じている。

今日のすべての用事を終えた後、毎年12月31日の夕飯をとっている明洞カルビ冷麺で、味付けカルビと冷麺を(年越しソバ代わり)食した。これで12月31日は3年連続冷麺である! そして、いつものように新しい年を希望に満ちた状態で迎えたいと思う私であった。