冷蔵庫とオーブンの中にいたような一日!?



今日の昼間の気温は、たしかマイナス5度…。ただ、午前中はずっとフトンの中にいたので、世間がどうなっていたのか、わからずじまい。というのも、昨夜はこのサイトを更新するのに手間取り、結局フトンに入れたのが午前3時半。前日も同じくらいに睡眠状態に入ったのだが、5時半には起きなくてはならなかったので、殆ど徹夜に近いような形でフトンに入った次第。まだ韓国滞在は長いので、ここでバテてはならない…と、やけにしおらしいことを思った私であった(実は、10時半に一度目が覚めている)

正午に起きて、テレビをつけると、やはり日本のアニメーションが目立つ。「デジモン」(デジタルモンスター)や「犬夜叉」などが人気を博しているようだが、「ちびまる子ちゃん」(韓国では「まる子は9歳」というタイトルになっている)や「ワンピース」なども相変わらず人気のようである。

実は、私の体は相当疲れていたようで、起きてすぐには何もする気力もなく、昨日のうちに買っておいたスニッカーズを食べ、ミネラルウォーターを飲んで、とりあえず自分の心身が落ち着くのを待った。そして13時過ぎにホテルを出て、まずウリ銀行(Woori Bank)で両替をした。以前、ウリ銀行でソウル交通カードを購入したことがあるが、その時と同じ支店に入店した。入口に、「りょうがえ」と日本語で書いてあるので、日本人観光客も多数来店していることだろう…店員も応対に慣れているのだろう…と思いつつ入店するも、行員が話すのは韓国語のみ。「韓国のお金に両替したいのですが…」と両替担当行員に話しかけると、「どうぞお座りください」と促されて着席するも、行員はかかってきた電話を優先して、私は置き去り状態…。しばらくして、「お待たせしました。まず、旅券(ヨックォン)を出してください」と言われ、パスポートを呈示する。海外で両替をする時は、パスポート呈示は常識である。そして、「では、いくら両替しますか?」と行員。私がトレイに乗せた金額を見た行員が一瞬たじろいだのを、私は見逃さなかった! 私が呈示したのは…US$89! 以前、横須賀の米海軍基地に招待された際に両替した89ドルが、そのままサイフに残っていたのである。そして、何事もなかったかのように、レートの計算を始めた行員…。数分後、89ドルは90546ウォンに化けた。

それにしても…、いつも思うのだが、「ウリ銀行」とはスゴイ名前である。昔は「ハンビット銀行」と言ったのだが、ハンビットが潰れて、ウリ銀行となったのだ。「ウリ」とは、韓国語で「私たち(の)」という意味である。だから、「ウリ銀行」とは「私たちの銀行」となる。大したもんだ…。

その後、明洞キルにあるアバターという若者相手の総合(?)ファッションモールに入り、地下1階のシンナラレコードに久々に入る。ここのJ−POPコーナーは、かなり目立つような工夫がされている。「おっ? これは撮影しておかないと…」と思った私であった。しかし、堂々とパチリと撮影するのもどうかと思い、フラッシュをたかないようにモードを設定した。そして、いざ撮影…という時に「電池残量がありません」という表示が…!? こんな時のために、換えの電池をバッグに入れて…ないじゃないか!? ここで悔やんでいる暇はないので、急いで電気屋やカメラ屋を探す。しかし、なかなか見つからない。オーディオ製品を扱っている店を見つけたので電池があるか聞いてみたが、デジカメ用の電池はないとのことで、ホテルに戻って電池を入れ換えることになった。

よく考えたたら、ちゃんと昼食をとっていないことに気が付いた。そこで、アバターに戻る(?)途中で何か食べようと街を見渡した。今までに入ったことのない店に入ろう…出来れば日本人があまり来ないような…と思っていたら、ホテルにほど近いところに「スナック専門店 ミョンファダン(名画堂?)」と書かれた店を見つけた。思った通り、日本人の来ないような店であった。何しろ、日本語の表示が全くない。そして、日本語を理解できるスタッフが一人もいない! そうそう、こういう店に来れば、かなり安く食事が出来るのである! ここでうどん定食を頼んだが、出てきたものは「カス」と呼ばれる韓国風うどんのようなスープに入ったうどんと、韓国風おいなりさん(口が開いている…というか、底にお揚げがないタイプ)、そしてたくあん(韓国のたくあんは直径が長く、かなりデカイ!)がセットで出てきた。うどんは韓国風で海老風味が利いていて、なかなかウマイ! 疲れた体にしみ入るような感じだった。おいなりさんも、なかなかのレベル。お腹も満足して3800ウォン(380円程度)というのだから、安い! 私の下手な韓国語を聞いて、店員も客もみんな、私が韓国人ではないことを悟ったようであったが、会計時に「韓国語、ウマイですね?」などと言われるあたり、「まだまだ、勉強が足りないよ! 韓国人じゃないこと、バレバレだよ!」と言われているような気がした。韓国人に「韓国語、ウマイですね?」なんて言う韓国人がいないように…。

食後、落ち着く暇もなく(暇をなくしているのは私自身なのだが…)、アバターのシンナラレコードへ急ぐ(急ぐ必要はないのだが…)。途中、妙なものが目に入った。今現在、韓国で上映中の「ミスター・インクレディブル」「ハウルの動く城」のDVDが屋台で売られていたのである! 以前から海賊版CDを明洞あたりの屋台ではよく売られていて、公式にリリースされたものよりも屋台の売り上げのほうが実際の人気度を測るために有用であることは知られている。しかし、今度はDVDかよ!?…とツッコミを入れたくなったが、突っ込む前に購入してみた。1枚10000ウォン(1000円程度)。インクレディブルのほうは、英語と韓国語の字幕が出るというが、ハウルのほうはセリフが韓国語ということしか書かれていない。おまけに、堂々と「12月23日大封切り!」のような文句まで入っている。ハウルの名シーン数枚と、宮崎駿の写真まで入っていて、一見すると「正規盤」と思ってしまうような一品。だが、中身は市販のDVD−Rで編集されたものである。このサイトを更新している段階では、まだ内容の確認は済んでいないが、どこかからソースが漏れたのだろうか? さすが、海賊版王国・韓国!…と思わせるものであった。

シンナラレコード店内シンナラレコードで、何も買わずに店内の撮影だけするのも…と思い、パク・キヨンの新譜と、日本でも活躍しているSugarのシングルを購入する。そして会計時に「私は日本から来たのですが、この店内を…あの “J−POP” とある所を撮影しても良いですか?」と聞いてみた。すると、「店内は撮影禁止なんですが…日本から来たんですか…ちょっとお待ちください」と言って、店の奥に消えていった。しばらくして、おそらくフロアのチーフと思われる女性が私に近づいてきて、流暢な日本語で「店内の撮影はお断りしているんですが…どこを撮影したいんですか?」と尋ねてこられた。「この “J−POP” と書かれた所なんですが…」と私が答えると、「職業は会社員ですか?」と職業の質問。世界共通で「大学の教員です」と名乗ると、だいたい無理が利くので、ここでも試してみた。すると、「韓国文化について、講義をされますか?」と返ってきたので、「はい、韓国の文化を講義しています」と答えると、「それなら、結構です。何枚でも撮影してください」と許可が下りた。だが、最初に「“J−POP” とかかれた所」と言ってしまったので、そこだけ3枚ほど撮影させていただき、丁寧にお礼を述べて店を出た。おそらく、最初に撮影しようとした時は、「お前、何も買わずに撮影だけするのか?」と神様が私に警告し、それで電池の残量をなくしてしまったに相違ない。

店を出て、ホテルロッテに向かう。新館3階にJCBプラザがあるので、そこへ行って何か情報をもらおうと思ったのである。…というより、ソウルに来るたび、必ず訪ねているような気がする。訪ねただけで、ウェットティッシュがもらえるのである。明洞方面からホテルロッテに行く場合、一度ロッテ百貨店に入り、店内をつきってパーキングエリアに行くと、そこにホテルロッテの2階に連絡できる階段があるので、いつもこの方法でホテルに入っている。しかし、今日はいつになく動きが鈍くなっている。ホテルと百貨店の間にある階段には、ビル風が吹き抜けていた。この時、気温はマイナス2度。気温は多少ではあるが上がったのであるが、強い風が吹くと、マイナス10度くらいの寒さに匹敵する。JCBプラザで私が訪ねたことは、「男性1人でもOKなマッサージのお店を紹介して下さい」…勘違いされると困るが、「マッサージ」とは、ここではアカスリマッサージのことである。そして、JCBと提携している明洞汗蒸幕(ハンジュンマク)を紹介された。明洞汗蒸幕?…ホテルから歩いて5分程度のところじゃないか? いつも店の前を素通りしていた私は、「では、ここの予約をお願いします」とJCBプラザで予約をしてもらった。実は、韓国でアカスリをしてもらうのは、今回が初めてなのである。今までは「そんな暇があったら、別のことをする」という考えだったのである。それがどうしてアカスリなのか…それは、私なりの(こじつけ的な)計画があったからである。

KORAIL(韓国国鉄)新村駅舎JCBプラザを出て再びロッテ百貨店前に出た私は、目の前に停車中であった路線バスに乗り込んだ。これも交通カードで乗車できるので楽である。が、目的地は定かではない。とりあえず疲れたので、座席に腰掛けて、移りゆくソウルの風景を眺めつつ、これからのことを考えようと思っていたのである。車内に貼られていた路線図を見ると、このバスは地下鉄2号線の上をずっと走行するらしいことがわかった。そこで、新村(シンチョン)駅までバスに乗り、あえて地下鉄ではなくKORAIL(韓国の国鉄)でソウル駅に戻ることにした。以前、国鉄新村駅を利用した時、上りも下りも1時間に1本しか停車しないことを知っているので、問題は電車の時間が合うかどうかであった。新村駅舎に入って時刻表を見た。この時点で15時半である。ソウル行きは、毎時7分に出発することがわかったので、キップを買って電車を待つ今年にした。今まで、ソウルなどのかなり近代化の進んだ駅で購入する以外、国鉄駅のキップは硬券の手売りであったのだが、手売りは手売りでも今ではコンピュータのオンラインが窓口にあり、自動改札対応のキップが発見されるようになっていた。あとでホテルに戻って朝鮮日報のホームページを見て知ったのだが、この国鉄新村駅舎は取り壊し計画があったらしい。しかし、1920年からずっと使用してきたこともあり、文化財として今後も保存することが決定したという。何という偶然!
新村駅前にて
待合室も寒かった。ストーブが置いてあるので外よりは暖かいのだが(この光景、ここがソウル市内だとは思えなかった)、じっとしていてもつまらないので、今まで足を踏み入れなかった駅前の小径を歩いてみた。ここ新村駅のすぐそばには、梨花女子大学校(イファ・ヨジャデハッキョ)という名門お嬢様大学がある。お茶の水女子大学のようなレベルで、雰囲気がフェリスといった感じか…(キリスト教の大学なので)。おしゃれな学生が多いのも、特徴の一つである。そのため、大学と駅を結ぶ道は、東京の原宿・竹下通りのような雰囲気がある。男一人で歩くのは勇気が要るものだが、そこは「旅の恥はかきすて」で、カメラを持って小径を歩いた。

ソウル行き電車の来る10分ほど前に駅舎に戻り、改札が開くのを待った。この駅は、電車の来る3分くらい前になら新村駅のホームないと、改札を開けてもらえないのである。が、電車の来る1分前になったというのに、まだ改札が開かない…。改札前のガラスの扉前で私が待機していると、駅員さんが近づいてきて、「ソウルへ行きますか?」と聞いてきた。どうやら、ソウル行きの電車に乗るような客は、殆どいないらしい。新村からソウルへ行く人は、バスに乗るか地下鉄に乗るのである。国鉄では1200ウォン(120円程度)かかるが、バスや地下鉄なら900ウォン(90円程度)で事足りる。安いバスや地下鉄のほうが、本数も多い。だから、私のような者は珍しいのである。そして、何とか無事にソウル行きの電車の乗り込んだ私は、約10分の乗客になった。地下鉄では見られない風景を眺めつつ、ゆっくりソウル駅への移動を楽しんだ。

古風で田舎風の新村駅とは違い、ソウル駅は “超” 近代的である。初めて私がソウル駅のホームに降り立った時は、「何だか、これが首都の駅とは思えないなぁ…」と思わずにはいられなかった駅が、信じられないほどの近代化を遂げ続けている。が、以前と変わらぬ姿も残されている、ソウルの駅舎は、東京駅と同じ設計者が作り上げた建物で、どこか東京駅を見ているような雰囲気がある。大日本帝国がこの国を植民地支配していた頃、首都であったソウルの駅を東京と同じようにしてしまったのである。

ソウル駅構内
ソウル駅の電光掲示板
ソウル駅前にて
ソウル駅舎

進化し続ける駅舎をバックに…と、セルフタイマーで撮影していた時、カメラに気付かなかった大学生風の男の子がカメラ前を通り過ぎようとした。私の顔を見て、それでカメラの存在に気付いたようで、急に後ろへ飛ぶように避けてくれたのだが…その姿を見てびっくりした瞬間の私をカメラは撮影してしまった(男の子は映っていない!)。「すいません!」と謝る男の子に「大丈夫! 大丈夫!」と声をかけたのだが、かなり恐縮していた様子。気を取り直してもう1枚撮影したが、どうも写りとしては(私の表情も含めて)ビックリした瞬間のほうがよろしいようである。

明洞汗蒸幕ソウル駅からは地下鉄で明洞へ戻った。ホテルへ帰る前に、今夜お世話になる明洞汗蒸幕の前を通ってみた。まじまじと見たことはなかったのだが、よく見ると明らかに「日本人観光客の来店を目的とした店」のように見える。が、この際、そんなことは関係ない。

ホテル前で、またもや海賊版DVDの屋台を見つけた。ここにもハウルのDVDが…。これはどうやら日本語版らしい。どういうものか気になったので、また1枚購入した。これも10000ウォン…。

ホテルに戻ると、フロントから電話が…。何事か?…と思ったが、明日から課税のルールが変わるという案内だった。今日までは外国人宿泊客には税金がかからなかったのだが、明日からは外国人も課税対象となるという。宿泊費が10000ウォン高くなるらしい。

17時前、テレビで「ちびまる子ちゃん」(韓国では「まる子は9歳」というタイトルになっている)を見る。声優さんもナレーターさんも、日本でのものと似ている声の持ち主である。全く違和感がない!…というと言い過ぎか? だいたい、まるちゃんが韓国語をしゃべったり、丸尾君が韓国語で「次の学級委員の選挙では…」なんていうのは、やはり変だ。でも、違和感は殆どないのである。

18時過ぎに再びホテルを出る。まず、昨年同様に「年越しソバ」代わりに明洞カルビ冷麺でピビン冷麺とビールを注文する。この店は、日本人観光客目当て半分、韓国人相手半分というところがあり、値段も微妙に高めであるが、味は抜群である。初めて韓国に来た時、最初の夕飯を食した店でもある。年越しソバは「細く長く、無事に新年を過ごす」ことが目的だが、冷麺はハサミでチョキチョキされてから食すので、細く短くなってしまう。しかし、腰の強さは、世界一! イヤなことが細く長く続くよりも、ハサミでチョキチョキとツキの悪さを裁ち、冷麺の腰のように強い意思を持って新年を迎えようと思うのである。食事中、店主のオジサンが副店主(と思われるオバサン)と何やら挨拶の話をしている。そして、私に「良いお年を!」とオジサン。私、まだ食事中なんですけれど!? 会計を済まそうとした時、まだオジサンとオバサンが話している。そして、私に「今日の挨拶は、日本語では “良いお年を!” でいいですか?」と質問された。私が「はい、その通りです」と答えると、「では、明日は?」と…。「セヘ ポンマニ パドュセヨ!」と答えると、「いや、それを日本語で!」と…。「“あけましておめでとうございます” です」と教えると、「あぁ、そうだった! わすれてしまった」と日本語でつぶやく夫婦…。そして店を出る時、お互いに「良いお年を!」と挨拶をした。心がホカホカしてきた。

そのまま明洞キルに出て、歩いてハーバードメガネに行った。昨日注文しておいたサングラスが19時に出来上がるとのことだった。店のある明洞地下街に着いたのが18:45だったので、ちょっと時間を潰すために地下街をアチコチ回ってみた。CDショップでパク・ヒョシンの「雪の華」が収録されているCDを訪ねてみたら、店員さんが流暢な日本語で「パク・ヒョシンのアルバムには入っていないんです。ドラマのOSTにだけ収録されています」と教えてくれた。そして、「ごめん、愛してる」というドラマOSTのCDを私に手渡してくれた。実はこのドラマの主題歌が「雪の華」で、この曲は中島美嘉の同名曲のカバーなのである。講義のネタに…と1枚購入する。が、実は昨日、明洞の屋台で海賊版CDでこの曲の存在とアーティスト名を知ったのである。海賊版も、たまには人助けをするのである。

時間を潰している際、妙な貼り紙を見た。ソウルにはめがね屋さんがかなり多いのだが、明洞地下街には店舗の半分以上がめがね屋さんではないかと思えるほど、めがね屋さん銀座となっている。よくガイドブックに載っているめがね屋さんの店頭に、こんな貼り紙が…!?

ヨン様と同級生の店
これで日本人を呼び込めるとでも信じているんだったら、かなりの幸せモンだ!

これをどうやって証明しようと言うのか? そんなことを言ったら、早見優や堀ちえみ、石川秀美あたりは私と同級生ということになる。どういう定義でヨン様と同級生になったのか、本当に小学校や中学校などで同級生なのか? ところで、こんな貼り紙で日本人客を呼べると思ったのか、ヨン様の同級生? 「おくさま〜っ、私、このメガネ、ヨン様の同級生のお店で作ったのよ!」なんて会話で盛り上がるのだろうか? えっ、どうなんだ、ヨン様の同級生?

そんなことで時間を潰した私であったが、19時ちょうどにハーバードメガネには入店でき、完成したサングラスと対面できたのであった。

明洞汗蒸幕の予約は20時にしてあったので、時間がまた余ってしまった。そこで、1月3日まで開催中のソウル・ルミナリエ2004を観に行くことにした。場所は、ソウル市庁・徳寿宮あたりから光化門までの道なりに、それぞれ各所でテーマに合わせた光の芸術が繰り広げられているという。東京のミレナリオを見そびれた私は、ここでそのリベンジ(?)をしようと思い立った。ハーバードメガネから気温がマイナスのソウルを走り抜け、ソウル市庁へ。が、一番華やかなイルミネーションはルミナリエのもう一つの起点にあることを知る。そこまで行っている時間はないので、とりあえず行けるところまで行き、続きは明日以降ということにした。

ソウル・ルミナリエ2004ソウル・ルミナリエ2004
ソウル市庁前のスケート場

近場の会場へ向かう途中、にぎやかな音楽に合わせて楽しげな声が聞こえてきた。「何だろう?」と近づいてみると、そこには…屋外スケート場が出来ていた! 雪をどこかからソウル市庁前に運び込み、スケートリンクを作ってある。その雪が解けないくらい、ソウルは寒いということを思い知らされる。

さて、予約しておいた明洞汗蒸幕へは、20時ちょうどに到着。受付で名前を告げると、システム説明をするスタッフが呼びに来てくれた。そもそも汗蒸幕とは、韓国風サウナのことである。遠赤外線を発する石や黄土で出来た部屋を、松の木を炊いて熱するのである。松葉は水につけておくとスゥ〜ッと清涼感があるのをご存知だろうか? 松の木を炊くと、ただ熱いだけではなく、清涼感もあるので、サウナでむせるようなことはない。しかし、私と一緒に汗蒸幕に入っていた人は(全部、日本人!)「熱い、暑い!」と言って何度も外に逃げていた。私は…というと、置かれている枕に頭を乗せ、「こんなの、どこが暑いんだ?」と思っていた。だいたい10〜15分ほど中にいて、汗を出して老廃物を排出し、さらに新陳代謝を促すことが出来る。5分ほど経った頃か、「本当に、こんなことで汗をかくのかなぁ?」と思った私は、自分の腕を触ってみた。そしてビックリ! 玉のような汗をかいているではないか!? それも大量に…。顔も胴も足も、どこもかしこも大量の汗…。汗蒸幕の威力を思い知る。

昨年、2003年までの悪事を追い払おうと、鐘路で除夜の鐘を聴いたのだが、今回は老廃物のように体に染みついた悪いツキを排出し、アカスリでこすりだしてしまい、自分の心身を大掃除して、サッパリと2005年を迎えようという計画だったのである。

汗蒸幕で大汗をかいた後、浴室に行き、シャワーで汗を流し、入浴する。風呂には「ゲルマニウム風呂」と書かれている。しばらくして、ベッドに呼ばれる。そこでは素っ裸でアカスリや全身マッサージなどを受けるのである。隠すツールは何もない。さっきまで持っていたタオルも、ここでは取り上げられてしまう。だから、そこにいる大の大人は、大事なものを隠すことも出来ずに、スタッフの言いなりになるしかないのである。まな板の上の鯉どころではない。ベッドの上の…(以下省略)

JCBプラザで予約をしてもらうと、80000ウォンの基本コース料金が56000ウォンに割引される。その浮いた分をオプションの足マッサージに使う。年内、かなり足が疲れていたので、大晦日にしっかり足の疲れもとっておこうという算段。足裏は最初 “かなり” 痛かったが、マッサージが進むにつれて痛みが和らぎ、楽になってくる。

本来、基本とオプションを終えたら、シャワーと入浴で終了となるのだが、「よかったら、また汗蒸幕どうぞ!」と言われ、「えっ? いいんですか?」と大喜びの私。再び汗蒸幕に入り、大汗をかく。徹底的に、ツキの悪さを体から出してしまおうと必死になる。

20時に入店した私が店を出たのが22時。2時間たっぷり汗蒸幕で楽しんだようであった。

ホテルに戻り、NHK−BSで紅白歌合戦を見た。が、何だか面白みがない。ハッキリ言えば、つまらない。すぐに韓国の放送局に変える。昨年は現場にいた、例の除夜の鐘の番組を見ながら、2005年のカウントダウン!

2004年最後の日をまとめると、冷蔵庫の中からオーブンへ飛び込んでしまったような、そんな経験をした一日だった。