疲れが出てしまったらしい。9時過ぎに起床して、10時には外出し…と、昨夜までは思っていたのだが、体が思うように動かない。今日は人に会う約束もあるので(12月30日のページを参照)、無理をしないで、ギリギリまでフトンの中にいることにした。

11:00前にフトンから出る。昨日買っておいたコーラを飲むが、何だか頭がハッキリしない。11:30、ホテルを出て明洞駅に向かう。改札口前にある薬屋さんに入り、初老の薬剤師に自分の身体状況を説明する。すると、「風邪、ひいてませんか?」と流暢な日本語で返答された。これは楽だ! 日本語で細かな状況を説明すると、薬を1箱出してくれた。そして、栄養ドリンクを1本サービスしてもらう。大したことはないらしいのだが、念のため(&お土産も兼ねて?)薬は2箱購入した。薬屋さんを出ると、聞き覚えのあるメロディーが耳に入ってきた。日本では玉置浩二が出演するチョコレートのコマーシャルに、本人自らの歌唱でバックに流れている曲である。思わずそのCDショップにはいると、「イラッシャイマセ」という日本語…。またもや日本人であることがわかってしまったらしいが、意地で韓国語を話しまくる。「この曲のCD、ください」と言うと、店員さんはすぐにそのCDを持ってきてくれた。どこのCDショップでもBEST HITコーナーに並んでいるCDである。アーティスト名をMC The MAXという。そして「このCDの3曲目 “サランエ シ”(愛の時)が、この曲です」と店員さんは説明してくれた。私が「これ、日本の歌だよね?」と聞くと、「他にもいろいろ、日本の歌が収録されてますよ」とのこと。店員さんとすっかり話し込んでしまい、時計を見ると11:50! 約束は12:00…。

改札を急いで抜け、ちょうど来た地下鉄4号線で惠化に行く。惠化に着いたのがちょうど12:00。階段を駆け上り、改札を脱兎の如く抜け、マロニエ公園を走り抜け、韓国文化芸術振興院に到着したのが12:02。受付のおじさんに「林秀妍(イム・スヨン)さんと約束があるのですが」と言うと、「林秀妍さんは今、食事に出ていますよ」という答え。「えっ? 12時にここで会うと約束しましたが…」と言う私に、「ちょっと待って!」と受付のおじさん、林さんの携帯電話に連絡してくれた。そして、私の言ったことを伝えると、電話を替わってくれた。今日は2004年最初の出勤日。どうやら、林さんの上司がミーティングを兼ねてみんなで昼食をとろうと提案したらしいのである。ただ、私が会うのは林さんだけではない。いつもお世話になっている韓日文化交流会議事務局の李惠美(イ・ヘミ)さんとも会う約束がある。李さんも同じ建物の中で仕事しているので、受付のおじさんに頼んで呼び出してもらおうとしたのだが、その時、グッドタイミングで李さんが現れた。

林さんとはあとで合流することにして、とりあえず李さんと2人で昼食をとることになった。いつも李さんや職員の方々がお昼をとるお店に案内してもらう予定だったが、あいにく休みだったので、別のお店にした。ここでテンジャンチゲ(味噌のチゲ)を注文した。1人分のチゲと御飯、そしてキムチが2種類(白菜&イカ)、それに焼き魚、卵焼き2枚(中にはそれぞれ、鱈か瓜が入っている)、そして食後におこげのお茶漬け(ヌルンジ)。味も量もなかなか。李さんには何度か電話とメールをしたのだが連絡が取れず、今日こうして会えたのが軌跡のようにも思える。李さんが、「11月から風邪をひきまして、12月末に2日ほど仕事を休みました。メールを確認したのが今日、林さんから先生の訪韓を聞かされたのも今日なんです」と言う。何だか申し訳ない。

李さんと初めてお会いしてから、すでに3年近く経っている。お会いするのは今日で4回目。「なのに、一緒に食事するのは今日が初めてですね」と李さん。そういえばそうだ。私が李さんを訪ねるのは、たいてい午後2時過ぎの約束で、食事はそれぞれにしてから会うことになっていたわけである。食事を終え、会計を…と思ったら、李さんが済ませようとしていた。私が払おうとすると、「韓国では、食事に誘ったほうが払うんです。それに、お客さんには支払わせないことになっているんです」とのこと。そういえば、韓国には割り勘がないので、会計がスムーズに済むという話を聞いたことがある。

韓日文化交流会議事務局に戻り、そこで韓国文化芸術振興院の方を3名紹介してもらい、名刺交換する。30日に私が電話を林さんにかけた時、最初に旧所属の部課にかけてしまい、そこで新しい電話番号を教えてくださった方も、実は林さんだった。おまけに、林珠妍(イム・ジュヨン)さんという。1文字違いだったのである。その後、李さんと昨年お会いして以降のことを話しているところへ、林秀妍さんが現れた。林さんは15時から会議があるので、あまりゆっくりしていられないということだったが、今のプロジェクトのことなどを語ってくれた。

清涼里駅のPCコーナー15:00過ぎ、李さんと再会の約束をして、韓国文化芸術振興院の建物をあとにした。さて、このあとはどうしよう?…と思ったが、とりあえずCDショップ視察をしてみようと思い、まずは鐘路にある教保文庫を目指すことにした。しかし、時間はまだたっぷりある。そんなに急いで行く必要もなかろうと考えた私は、惠化からマウルバスに乗り、鐘路に向かった。しかし、まだ時間はたっぷりあるので、行ったことのない所をバスで目指そうと考え、今度は市内バスに乗って清涼里(チョンニャンニ)駅に行った。清涼里駅もソウル駅と同様、国鉄のターミナル駅である。目指す地方によっては、ソウル駅ではなく清涼里駅から電車に乗ったほうが良い場合が多い。日本でたとえると、ソウル駅を東京駅として、清涼里駅は上野駅といった雰囲気である。駅構内に入ると、そこには10数台のパソコンが! さすが、IT先進国、ネット先進国の韓国である。ここから各駅の電車に乗って、次の往十里(ワンシムニ)で地下鉄に乗り換えた。その時、私の目に見覚えのある文字韓国にもダイソーが!が飛び込んできた。「DAISO」…そうである。おなじみの100円ショップのダイソーである。が、韓国では均一価格は難しいらしく、、500ウォン、1000ウォン、1500ウォン、2000ウォンというように、500ウォンごとに料金が区切られていた。日本円に直すと、50〜200円というところ。ダイソーは、韓国でも安かった!

地下鉄で光化門駅に到着し、そのまま教保文庫へ。CDショップに向かうも、日本語歌唱のCDはまったく見当たらない。まぁ、こんなものだろう。昨日から第4次開放が始まったものの、小泉首相の靖国参拝問題が韓国メディアでも話題となり、「またか…」という事態になっているのだが、そんな中で脳天気に日本語歌唱CDを探している日本人なんて、韓国人からしてみれば「敵」なんだろうなぁ…。日本語歌唱のCDは、おそらく昨日からライセンス契約が可能になったのではないか…と李さんから教えていただいたが、まぁ、今までもインターネット経由でMP3ファイルやWA韓国にもペッパーランチが!VファイルをダウンロードしてCD−RでオリジナルCDを作成してきた韓国人にしてみれば、「今さら…」という感じなのだろう。実質的には開放は実現していたし、変化があったとしたら、明洞界隈の屋台で日本語歌唱のCDを売っているおじさんやお兄さんの態度に余裕が見られるようになった(平井堅や倉木麻衣あたりの歌声が、今までより大音量でガンガン流れている!)ことぐらいか…。それに、韓国では今、CDセールスが全体的に盛り上がらず、CDショップも軒並み閉店の憂き目に遭っているということである。そうそう、明洞で私が必ず訪ねる「25時」という名のCDショップも、いつの間にか姿を消し、コスメ系の店になっていた。25時はガイドブックにも載るほどの名店だったんだけどなぁ…。私の思い出が、またこうして1つ消えた。

結局、今日は「屋台」以外では日本語歌唱のCDを見つけられなかったのに、ホテルへ戻る私の手元にはなぜかCDが数枚…。その帰り道で、またもや私の目に見覚えのある文字が飛び込んできた。「ペッパーランチ」…私の家の近くにもこの店はある。全国展開しているファストフードのステーキ店…とでも言えばよいのだろうか。薄切りステーキを御飯の上にのせ、鉄板でジュウジュウ音を立てながら食すのである。店の中をのぞいてみたら、作りも食べ方のスタイルも、日本のものと同じだった。

ホテルに戻り、荷物の整理をしていたら、部屋の電話が鳴った。フロントから、「趙一雨(チョー・イル)という方をご存知ですか?」と聞かれる。知ってますと答えると、「連絡を欲しいとのことです」という伝言を聞く。彼のことは説明不要だとは思うが、3年ほど前の初珍道中(もっとも、渡韓はその時既に数回目だったが)で偶然に出会い、それから私が渡韓するたびに会うことにしている友人である。昨年末(つまり、今回の渡韓前)、「ソウルに着いたら、連絡を下さい」というメールをもらい、それで連絡を何度も入れたが携帯電話がつながらず、Eメールで連絡を入れておいたので、それでホテルに電話をくれた次第。それで日曜日の夜、会うことになった。帰国の前日…。今回はいつもと同じ作業をしてさえいればゆったりしていられたものを、時間があればあるで全部使おうとして、それなのに成果がいつもと同じくらいしか上げられていない…。

さて、こうなったら覚悟を決めて、最後の最後まで忙しく動き回ろうじゃないか! その前に、体力をつけなきゃ!…ということで、今夜の夕食は参鶏湯(サムゲタン 雛鳥を丸ごと1羽、その中に米やナツメ、高麗人参などを詰め込み、スープでガンラガンラ煮込んだ料理)と決め込む。以前入ったことのある店を訪ねたが、店員がほとんど変わっていた。迷わず参鶏湯とビールを注文する(韓国へ来て、毎晩ビールを飲んでる私…)。しばらくして、大学生らしきバイト君が頼りない手つきで参鶏湯を持ってきた。基本的に参鶏湯は石鍋に入っているのだが、彼はテーブルに無事に置けたことで張りつめていた糸がゆるみ、その瞬間、石鍋のヘリを素手で触ってしまい、「ウワッチャ〜ッ!」と言うや私の箸をはたき落としてしまった。私が「ケンチャナ?」(大丈夫?)と聞くと、照れ笑いを浮かべて店の奥に消えていった…。

ちなみに、このページのアップをしようとしたその時、WindowsXPのシステムが壊れ、帰国してからやっとサーバにアクセスすることが出来た次第…。