おしくらまんじゅう、押されて泣くな!



大晦日である。海外で年越しをするのは初めてのことだが、何だかそういう感じがしない。

昨夜は旅の疲れをとるために早寝しよう思ったのだが、このサイトの更新作業に時間を費やし、結局フトンに入れたのが3:45だった。なのに9:00には起床し、テレビのスイッチを入れ、日本大衆文化開放の色濃い部分であるアニメのチェックを行う。昨夜もアニメばっかり見ていたのだが、明らかに日本のアニメであるとわかるのだが、それが一体何というタイトルなのかがよくわからない。今朝も同じアニメ(話は違う)をみていて、セリフの中からようやっとタイトルを確認した。「おじゃ魔女どれみ」だった。それから、「ママはぽよぽよザウルスがお好き」「あずまんが大王」「モンタナ・ジョーンズ」「ジャングルはハレのちグゥ」「赤ずきんチャチャ」などを今日一日で見る。

韓国芸術総合大学音楽院の閔庚燦(ミン・キョンチャン)教授に電話すると、今日の午後ならヒマがあるので研究室へ来て欲しいとおっしゃる。そこで、14:00に研究室を訪ねる約束をした。

踊る大捜査線211:00過ぎ、ホテルを出る。明洞(ミョンドン)駅から地下鉄に乗り、ソウル駅で乗り換えて鐘閣(チョンガク)へ。そこから歩いて教保文庫に入る。韓国に来ると、どうしても教保文庫へ行かない時が済まない。まず入口を抜けてビックリ! 年末大売り出しでVIDEO-CDやDVDがメチャクチャ安かったのである。日本映画のものも多く、VIDEO-CDが3000ウォン前後(300円程度)。DVDも9900ウォン(990円程度)と来れば、これは買いでしょう! ただ、DVDについてはリージョンコードが日本とは違うので(日本は2、韓国は3)、再生時に設定を変えないといけない。私はDVDデッキを持っていないので、いつもパソコンで鑑賞しているのだが、このDVD-ROMのリージョンコードは4回までしか変更できない。さらに、最後の変更をすると、Windowsを再インストールしようが何しようが、もう一切の変更がきかないという代物。気が向いた時にでも設定を変えて鑑賞しようかな。ちなみに、購入したDVDは「パンガパンガ、ヘムトリ」(とっとこハム太郎)と「となりのトトロ」さらに「ファインディング・ニモ」。もうDVDになっちゃったのね、ニモ…。VIDEO-CDは「チャングヌン、モンマルリョ」(クレヨンしんちゃん)と「ラブレター」そして「猟奇的な彼女」。VIDEO-CDやDVDを購入した後、マ紅の豚ンガ売り場へ。以前来た時にマンガがあった場所に別の書籍があったので、店員さんに来てみた。「マンファ(マンガ)はどこですか?」と尋ねた私に、「どんなマンファですか?」と聞き返す店員さん。私が「いろいろと…」とお茶を濁すと、「あなたはMANGAが欲しいんですね!」とズバリ! 恐れ入った! で、日本のマンガがズラ〜ッと並んだコーナーへ。いつもここの書店でマンガを購入するのがお決まりのようになってきた。これも立派な日本大衆文化開放研究の一環。今回は、「テニスの王子様」「あずまんが大王」「ママはぽよぽよザウルスがお好き」「ドラえもん」などを購入。韓国の書店では、店内で平然と体育座りで本を読んでいる(座り読み?)人がいる。マンガ売り場の場合は、そのほとんどが子供である。他のお客さんが通りにくそうにしていても、お構いなしである。ちょっと「ムカッ!」と来た私は、わざと彼らにぶつかるように歩いていった。本を選ぼうとした時、一人の子供が「アウゥゥゥ〜ッ!」と言いながら私を睨んでいる。「何なんだ、コイツ?」と思って自分の足元をよく見たら、シッカリその子の手を踏んでいた…。

13:00前、光化門(クワンファムン)駅から地下鉄を乗り継いで、南部ターミナル駅へ。ここから閔先生の大学までは歩いて7〜8分程度。駅に到着したのが13:30過ぎ。まだ昼食をとっていなかったので、いつも利用しているラーメン屋さんで海苔巻き(キムパプ)を食す。海苔巻き好きの私は(何でも好き?)、この滞在中に何回キムパプを食すのだろう?

食事を終えて、大学へ向かって歩く。結構寒いのだが、覚悟したほどの寒さではないのが有り難い。しかし、風の冷たさが身にしみる。大学の前には芸術の殿堂(イェスレチョンダン)というオペラハウスがあるのだが、その前の広場で新年のイベントが開かれるらしく、ステージが組まれていた。そして、業者のトラックなどで道がふさがれ、私は閔先生の研究室に5分遅刻してしまった。遅刻を詫び、11月に発行された日本大学新聞とお土産を渡し、明日からの第4次日本大衆文化開放について語る。が、閔先生も私も「完全開放には至らなかったですね!」という共通見解に達した。ここでの会話を詳しく述べることは残念ながら出来ないが、いずれ出版される本を読めばわかるようにしておこうと思う。

1時間ちょっとの滞在を終え、再び南部ターミナル駅へ戻る。途中、冷たい雨が降ってきた。急いで傘を出そうとしているところへ、中年の女性がパンフレットのようなものを持って近づいてきた。そして、キリスト教の勧誘が始まった。私が「私は日本人なので、何が何だかわかりません」(in 韓国語)とだけ答えると、警備員が「ダメだっていったろ!」と激しい口調で中年女性を追いやった。どこにいても、勧誘のターゲットになる私…。

駅で朝鮮日報を買う。500ウォンを出すと、売店のおじさんに「600ウォンだよ!」と言われ、100ウォンを急いで出す。そして、乗り換えの鐘路3街(チョンノサムガ)で文化新聞を買う。600ウォンを出すと、売店のおじさんに「500ウォンだよ!」と言われ、100ウォンを急いでしまい込んだ。

乙支路入口(ウルジロイプグ)で下車して、明洞地下街を目指した。ここにはいつもお世話になっているハーバードメガネがある。もう私は「お得意さん」扱いらしく、行くと必ずディスカウントがかかる。久々にお店を尋ねると、いつもは日本語で語りかけてくれる店員さんが韓国語であいさつをしてきた。それからほとんど、韓国語で話しかけてくる。でも「2年ぶりですね!」といいながら、店に置いてある私との記念写真を持ってきてくれた時は嬉しかった。そして新しいメガネを作ることにした。シチュエーションによってメガネのバリエーションを変えようと思ったのだが…。今日作ったメガネは、明日の昼に出来上がる。

明洞に戻った私は、またもやCDショップへ向かうのであった。そして、第3次日本大衆文化開放段階でのCDショップの視察を終え、ホテルに一旦戻った。しばらく、このサイトを更新したり、紅白歌合戦をNHK−BSで見ていたが、年越しソバを食べようと思い立ち、よく行く冷麺&カルビ屋さんに向かうことにした。冷麺は、食べる前に店員さんがハサミでチョキチョキと麺を切ってくれる(切ってくれないと、とても食べられないほど腰が強い)。年越しソバは通常、そばの麺のように長く…という思いを込めるものだと聞くが、私の場合は、こんな不遇が長く続くのなんて嫌だから、チョキチョキとハサミで切ってもらったほうがマシである。が、最初に食べたピビン冷麺とビールの相性が最高で、お腹がいっぱいにならなかったため、追加でムル(水)冷麺を頼む。これもハサミでチョキチョキ…。一風変わった年越しソバである。

今夜は鐘閣にある普信閣(ポシンガク)で除夜の鐘を聞こうとと思っていたのだが、その前に、昨夜みたソウルのイルミネーションを写真に納めたいという思いに駆られ、歩いてソウル支庁経由で鐘閣まで向かった。地下鉄だと乗り換えが必要になるので、歩いてもたいして時間に差がないところが恐ろしい。それにしても、とても美しいイルミネーションであった。

ソウルのイルミネーションソウルのイルミネーションソウルのイルミネーション

普信閣前のにぎわい写真を撮りながら歩いて、普信閣に到着して、ビックリ! ここの除夜の鐘は例年10万人ほどの混雑が予測されるという年末年始のビッグイベントである。今年も例年通りの混雑ぶりらしい。2時間も前から場所取りをして年明けに備えていたつもりが、さっき飲んだビールの副作用で…しかたなく、来た道を戻って、大きな書店に入ってトイレを借りる有様。あぁ、今年最後の日も…。

ここで、韓国の除夜の鐘について説明を。韓国の除夜の鐘は、基本的に33回となっている。これは、かつて、朝の開門時に4回、閉門時に33回の鐘を鳴らしたことに由来するとか。

例年通りの混雑であるということは、当然私の周りだけでも数万人の韓国人がいたわけで…。2003年最後の1時間はその数万人の韓国人とのおしくらまんじゅうで終わった。一度に、それもこんなにたくさんの韓国人に囲まれたのは初めてのこと。しばし、自分が日本人であることを忘れてしまいそうな時間を過ごすことに。おまけに、祝砲の代わりに20連発の花火を各々がパンパン打ち上げるため(この花火は手持ち式である!)、アチコチで火薬のはじける音がし、耳が痛くなるほど。さらに、空には白い風船が…。花火がこちらに向かってこないかと、恐ろしく思えるのと同時に、おしくらまんじゅうでケガをしないかどうかの恐怖も…。

そのおしくらまんじゅうと花火の破裂音責めの果てに聞いた除夜の鐘に、韓国人も1つきごとに歓声を上げ、私もつられて歓声を…。