韓国の現代情勢(2001年版)



仁川国際空港(Inchon Int'l Airport)

今年3月29日に開港したばかりの新空港で、アジアのハブ空港を目指しているため、今まで国際線の乗り入れのなかった日本の地方空港へも積極的に大韓航空やアシアナ航空(いずれも韓国の航空会社)を乗り入れさせている。私が乗り込んだUA882便(成田発シカゴ行き)の次にタキシングを始めたのは、アシアナ航空の米子行きだったことからもわかるが、日本の各地方から成田や関空を経由しないで、安価で迅速な海外旅行を実現させたことで、成田と関空にとってはライバル的空港となった。

現在は滑走路2本で運営しているのだが、規模はドンドン拡大の見込み。そして、新空港開港に伴い、今までの金浦(キムポ)空港は国内線専用空港となった。
空港利用券
金浦も結構交通の便が悪いのが問題となったが、今では地下鉄が通っているため、高速道路でしかアクセスできない仁川空港の抱える問題は山積のようである。

空港利用料であるが、成田のように一律2040円と言うようなシステムではなく、韓国人は25000ウォン、外国人は15000ウォンという料金体系となっている。


ソウル交通事情
ソウル地下鉄のチケット
ソウルの交通の代表格は地下鉄である。現在8路線。さらに新たな区間の建設や、国鉄との乗り入れも以前から行われていて、1号線だけが日本との共同開発のため、左側通行。その他は日本と進行方向が逆になっており、路線図を見ながら混乱しがち。

ちなみに、地下鉄1号線は「ソウル駅」駅(こういう駅名になっている)から国鉄に乗り入れ、水原(スウォン)や仁川へ乗り入れる。また、清涼里(チョンニャンニ)からも国鉄の議政府(ウィジョンブ)方面に乗り入れているので、さながら営団地下鉄の津田沼発三鷹行きのような感じである(しかし、地下鉄区間が短い)。

また、地下鉄車内では、よく「物売り」が出現することでも知られている。朝夕の新聞売りは重宝するが、チューイングガム売り(今回は遭遇しなかった)などもいる。勝手に、座っている客の膝の上にガムを置いていくのだが、いらなければガムをそのままにし、買うつもりがあるのなら手にとれば良い。今回私が見かけたのは、女性物下着を売っていたおばさん。つり革に、下着をかけたハンガーを吊るし、「さぁ、これはいいよ! 掘り出し物だよ!」と行商を始めたのである!

市内バスは路線を知って乗らないと、ハングルの読めない観光客には利用できない。また、バス停の前後100メートルに停車するというシステムだったため、快足を飛ばしても乗り遅れるということもしばしばあった。現在ではバス停の前後10メートルには停車してくれるが、何でこんなことになっているのかというと、それはソウルの慢性的な交通渋滞のためである。バスの本数も多いので、いちいちバス停に止まっていられないのである。

タクシーも便利である。が、気をつけて拾わないと、乗り込んだら別の客がいた…とか、乗っていたら別の客が乗り込んできた…なんてこともある。これは、一般のタクシーには「相乗り」の原則があるからである。料金は、基本料金が1300ウォン。そして、相乗りの場合も、全員基本料金を払う。あとは、乗った時のメーター分を差し引いた料金を払えば良い。

もし、相乗りがイヤならば、「模範タクシー」(ボディが黒系統)を利用すれば良い。料金に差がなく、「相乗り」もない。初心者には、模範タクシーをお勧め!


最近の音楽情報

K−POPは現在、J−POPの影響梨には語れない。そこで、日本大使館広報文化院(日本文化院)の中に「日本音楽情報センター」が昨年5月10日に設立され、韓日音楽交流を目指し、海賊盤を利用しないJ−POPとの触れ合いを可能とした。

中にいると、そこは日本のCDショップのような感じがする。スタッフも日本語が堪能で、さらに日本の音楽事情にも詳しい。

定期的にJ−POPのフィルムコンサートを開催するらしいが、そこに集まった韓国の若者は、アーティストのプロフィールなどを熟知しているので、スタッフのほうが驚いてしまうという。

日本音楽情報センター内日本音楽情報センター内日本音楽情報センター内

ちなみに、日本語で歌われたCDの販売は(7月まで)禁止、日本語で歌唱するコンサートライヴは、2000人以下の規模の会場でなければダメ、テレビの放送では日本語で話しても良いが歌唱はダメ…など、J−POPへの規制はかかったままである。しかし、衛生放送などでNHKが受信できるため、新聞のTV欄にはNHK−BSまで載っているのが、何とも矛盾である(これについては、論文で述べるので、詳しくは述べられない)。

なのに、韓国の女子大生の話題になっているアーティストは、浜崎あゆみ、宇多田ヒカル、ラルク・アン・シエルなどだそうである。


アニメ事情

ポケモン!明洞のアニメショップ「アニランド」明洞についた夜、私の目を引きつけて離さなかった看板…それが「アニランド」の看板だった。ポケモンにトトロ…、日本のアニメグッズばかりの店内…。関係ないが、隣りのTシャツ専門店一押しは「ペコちゃん」のプリントされたもの数種類…。日本のアニメの人気の高さを物語っている。

さらに、ピカチューは「ポケモンパン」なる商品まで生み出されて人気となり、書店の児童書コーナーの絵本でも「ポケモン」は所狭しと並んでいる。私も韓国で数冊購入し(そのうち1冊を手元に残し、残り知人に差し上げた)、それでポケモンについて(ちょっと)内容を知った次第である。
ぶるぶるどっぐ
また、「ぶるぶるどっぐ」「たれぱんだ」人気もスゴイ! 若い女の子――大学生や高校生はもとより、若いお母さんまで、「ぶるぶるどっぐ」「たれぱんだ」のバッグ(日本語のままのもの)を持ち歩いているのを見ると、「抵抗感はないのかな?」と思えてしまうくらいである。

ナウシカ!私は、「ぶるぶるどっぐ」の韓国(語)版のシールを購入したが、元絵は日本のものと同じであった。

ショッキングな事実も発覚した(後日、論文にまとめるので、あまり詳しくは書かない)。日本のアニメは韓国でもずいぶん昔から放映されているのだが、それを日本のアニメと知って見ていた者はほとんどいなかった上、アニメソングも韓国語に直して歌われていた。最近、「風の谷のナウシカ」のサウンドトラック盤が韓国で発売されたが、これにはちゃんと日本語が併記してあり、日本のアニメであることが明記されている。


ファストフード事情

ロッテリア韓国の大財閥のひとつであるロッテ(日本のロッテと会長は同じ。ロッテの会長は在日韓国人であり、韓国への貢献度も高い)の系列である「ロッテリア」が韓国のアチコチに目立つのは当然のことである。現在、ロッテリアでは(TVCFによると)イカリングのフライが超目玉だとか。

ロッテリアに並んで人気なのが「マクドナルド」。ここでは「3・6・9・セット」が話題。TVCFでは、小学校の授業中のシーンが映し出される。子供たちが勉強しているそばで、窓の外を見てボーッと物思いにふけっている男の先生…。300ウォンのソフトクリーム、600ウォンのアップルパイ、900ウォンのハンバーガーのことを思うと、笑顔がこぼれずにはいられない。キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン…とチャイムが鳴ると、先生が急に(何も言わずに)教室を出て、しばらくすると、マクドナルドで大量に買いこんだ「3・6・9・セット」を手に、子供たちの歓喜の声を浴びる…という、何ともほほえましく(現実離れした)CFをよく見た。

この他、「ケンタッキーフライドチキン」も若者にはよく利用されている。彼らは「ケンタ」とか「ケンチキ」などとは呼ばず、「KFC」と呼んでいる。

しかし、韓国の伝統的なファストフードは、何と言っても「キムパプ」(海苔巻)である。どこで食べても、これがまたウマイ!


映画事情

映画のポスター現在、韓国では「親旧」(チング=友達)がはやっている。一度見てみたかったのだが、映画館前まで行って、「いや、まだまだ調べるべきことがある」と思い直し、結局は見られなかったが、サウンドトラック盤も売れ行き好評で、「今度、日本のTVでやらないかなぁ…」という思いをはせて、帰国した。

韓国映画好きの私は、よく中野や吉祥寺まで韓国映画を見に行った。「シュリ」がはやった時も、映画館前に並ぶのを覚悟で、有楽町まで見に行った。

しかし…、これも論文で書くので以下省略。


ラヴホテル事情
モーテル街モーテル正面
新村(シンチョン)で道に迷って入りこんだ所が、東京で言えば渋谷丸山町か新大久保あたりのようなラヴホテル(モーテル)街だった。日曜日の昼間だというのに、これがまた満室状態ばかり。思わずカメラを出して、シャッターを切っては走って逃げ、切っては逃げ…と、怪しい男になっていた私…。ちなみに、私はひとり旅だったので、中には入れず。


インターネット事情
PCバン
韓国は、アジアのインターネット普及率No.1であるようで、街のあちこちにはPC房(バン)がある。2〜3分も歩けばPC房が見つけられる。私は明洞のPC房をよく利用したため、店員から顔なじみ扱いされてしまったが、どこも大盛況。日本語のホームページも見られるようにオンデマンドインストールされている。これを利用して日本のサイトにアクセスし、MP3やWAV、WMAなどの音楽ソフトをダウンロードし、それをMP3プレーヤーやCD−Rなどに焼いてオリジビルの表示にURLナルJ−POP集を編集する若者も多い。

Eメールのアカウント所有率も高いらしい。誰に聞いてもアカウントを教えてくれる。

また、5年ぶりの韓国の最大の変化と私が位置付けているのは、ビルの看板(表示)である。企業名を書くのが標準と考えていた私は、各ビルの「www.企業名.co.kr」という表記を見て、「さすが、アジアNo.1のインターネット大国!」と思わずにはいられなかった。


ラーメン屋さん事情(および、食堂事情)

韓国で「ラーメン屋さん」というと、日本のそれとは違い、インスタントラーメンを作ってくれる所を言う。日本から進出したラーメン屋さんは「手打ち麺」などで給仕してくれるが、韓国では「辛ラミョン」(辛ラーメン)を客の目の前で作ってくれる。私が入った店では、キムパプとラーメンを出す店だったが、「写真、撮っていいですか?」と聞いたら、「いいけれど、私たちは撮らないでね!」と言われてしまい、無人のラーメン屋さんを撮影することになってしまった。

ラーメン屋さんラーメン屋さん全景

しかし、どこで何を注文しても、必ずキムチが数種類サービスで出てくる。韓国での食事、私はほぼ毎食、キムチを食していたので、元気モリモリだった(日本人でありながら、キムチをソウルフードとしているため)。日本にもあるファストフード店には、絶対に入るまいと決めていたためでもある。


日本文化がこんな形で紹介されても…日本人はやっぱり悪者?

日本大衆文化の文献を購入して、その中の1冊に「日本人ののぞき」というタイトルを見つけた。赤外線カメラで黒い水着を透視する方法とか、パンチラ写真などが紹介されていた。それを「日本人はのぞき好き」のように書かれたのでは、たまったもんじゃない!



どうでしょう? ガイドブックにはない、韓国の現代情勢がおわかりになりましたか?