マンガ・アニメ事情



ドラえもん20年以上前から、日本アニメは韓国でもテレビ放映されていて、当時の子供たちはそれを「韓国製のアニメ」だと信じて疑わなかった。『鉄腕アトム』『キャンディキャンディ』『ドラえもん』『マジンガーZ』『クレヨンしんちゃん』…などなど、すべて韓国の作品だと思っていた世代がいる。以前は、テレビで放映された日本アニメのテロップはすべてカットされていて(現在でも、その傾向は強い)、誰が原作者なのかもわからないような状態だった。それに、歴史の時間に「日本は悪い国だ」と教わっている国民の誰もが、まさか日本のアニメを韓国が買い取って放映することなどないだろうと、そう信じていた時代もあったのである。『クレヨンしんちゃん』を除き、ここに紹介したアニメは、そのままのタイトルで(ただし韓国読み)、登場人物の名前は韓国名に改めて放映されていた(『キャンディキャンディ』を除く)。
クレヨンしんちゃん韓国語タイトルは「いたずらっ子は止められない」
『クレヨンしんちゃん』の主人公は、「野原しんのすけ」という名前だが、韓国版では「チャング」という名前に変わる。「チャング」というのは頭の形のひとつで、おでこが出っ張ったような頭のことを言うのだが、野原しんのすけのおでこは出っ張っていない。なのに「チャング」とはどういうわけか? 日本に留学経験のある閔庚燦教授は、「クレヨンしんちゃんの “ちゃん” という音と “チャング” とをかけてある」と説明された。ちなみに「チャングヌン モンマルリョ」というのが韓国版正式タイトルなのだが、「いたずらっ子は止められない」という意味にもなる。意味的に言えば、『クレヨンしんちゃん』をうまく言い表しているようである。
ハム太郎(パンガパンガ ヘムトリ)
今、一番人気は『とっとこハム太郎』らしい。ところが、『パンガパンガ ヘムトリ』という名前に変わっている。「パンガパンガ」というのは、「(会えて)嬉しい」という意味である。絵本の種類も多く出ている。日本文化院の孔章源さんのお子さんも、毎週「ヘムトリ」の放映を楽しみにしているという。大人たちは、ヘムトリが日本のアニメであることを知っているのだが、子供たちはその事実を知らない…。

「ヘムトリって、日本ではハム太郎って名前なんですよ!」と韓日文化交流会議の李惠美さんに教えると、「ハム太郎? あははっ! 桃太郎みたい!」と言われたが、「ドラえもんだって、“えもん” って古めかしい名前なんですよ」と説明する私に、「でも、ハム太郎…」と笑い続ける李さんの持っていたシャーペンは、日本で買ってきたという「にゃんにゃんにゃんこ」のものだった。ちなみに、私もにゃんこグッズをいくつか持っている。

日本のアニメ、マンガとも、作者名を英語表記してある。漢字で書いたりハングルに直すことはめったにしない。よって、アルファベットのわからない子供たちには、それが作者名であることなど理解も出来ない。そういった操作もあって、より一層、日本アニメの誤解が進む。

とはいえ、日本大衆文化開放(現在中断中)によって、日本のアニメもマンガも、「日本製」として市場に出回ることが可能となっている。私が訪ねた書店のいずれにも、日本のマンガ、絵本が、韓国語になって売られているのを見た。

名探偵コナン花より男子犬夜叉らんま1/2

タイトルは、すべて日本語タイトルに忠実に韓国語訳(直訳)されている。登場人物名も日本版と同じである。ただ、背景や効果音の日本語は、韓国語に改められている。日本のマンガに疎い私の場合、韓国版にある解説を頼りにすれば、日本のマンガファンと語り合えそうなくらいの知識が身につく。おまけに、日本版と韓国版を一緒に読めば、韓国語学習にもなる。

ちなみに、『花より男子(だんご)』は「WINK COLLECTION」(日本では「マーガレットコミックス」)というコミックシリーズから出されているが、この「WINK COLLECTION」から出されているマンガのほとんどが、日本のマンガの韓国語版であるこちらをクリックすると、その全貌がわかるようになっているが、かなり重いファイルなので、ADSL以外の方がアクセスすると、表示に時間がかかるので注意!)

最近は『マシマロ』という韓国生まれのキャラクターも登場し、人気を博している。マシマロ